HOME | 胸椎黄色靭帯骨化症

首と腰の間の背中の部分の背骨を胸椎といいます。胸椎は12個あり、肋骨がついているのが首や腰との大きな違いです。それぞれの骨はいくつかの靭帯によってつなぎとめられていますが、背骨の中を通る神経(脊髄)のすぐ後ろ(背中側)にあるものを黄色靭帯と呼びます。 
黄色靭帯骨化症はこの靭帯が骨のように固くなり厚みを増してくる病気です。胸椎の腰に近いところに生じることが多く、厚くなった靭帯によって脊髄が圧迫されるようになります。 

 
  

黄色靭帯骨化症は全く無症状で腰椎検査などで偶然発見されることも多いです。脊髄の圧迫が強くなってくると下半身のしびれや歩行障害などの症状が出てきます。転倒などの軽微な外傷で急激に症状が出現することもあります。 
病気の進行度合いは様々で、長年ほとんど症状が出ない方もあれば数年の経過観察で症状が徐々に悪化する場合もあります。 
 

無症状である場合は経過観察でよいですが、症状が出現し進行している場合は手術加療が必要になります。

  

 

外科的治療(手術)法 
-外科的治療(手術)法の種類と内容 

 
これらの疾患に対する外科的治療法(手術)は腰椎椎弓形成術(もしくは椎弓切除術)が選択 されるのが一般的です。MRIやCTなどの検査結果から狭窄が強く症状の原因と考えられる部分の椎弓や肥厚した靭帯を切除し脊柱管の狭窄を改善し神経症状の改善を図るものです。我々は切除した椎弓部分の安定を図るために独自に開発したセラミック製の人工骨(M-Spacer)を用いて椎弓形成術を行っております。 まれにすべり症や分離症の状態によっては固定術を併せて行う必要がある場合もあります。 
 
症状やMRIをはじめとする画像検査所見などより様々な角度より患者さんの治療法を検討しました。その結果、腰椎椎弓形成術を行うのが良い方法であると我々は考えています。
 
 
我々は手術用顕微鏡を用いてより安全かつ有効な術式とするように努力をいたしております。 以下に我々が行っている腰椎椎弓形成術についてご説明いたします 
  

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ア  脊柱管の後の部分は椎弓と呼ばれる部分で覆われていますが、この部分を拡げることにより脊柱管を拡げて神経への圧迫を解除する手術を行います。 
 
イ  実際の手術に当たっては、X線透視やX線撮影で切除する椎弓の確認を行い、皮膚切開を行う部位を決定します。切開の大きさ(長さ)は切除する椎弓の範囲によって変化します。必要最小限の切開にとどめるように努めますが、椎弓の切除範囲が広い場合は皮膚切開も多少長くなります。棘突起と呼ばれる背骨の突出部分を切断し、椎弓を露出します。ドリルを用いて目的の椎弓を削り取り、その奥にある黄色靭帯を丁寧に除去します。靭帯の奥にある神経を包んでいる膜(硬膜)を露出確認して、さらに枝分かれしている神経の周囲の靭帯も丁寧に取り除きます。椎間板が突出しており神経を圧迫していると判断された場合には椎間板の除去も併せて行う場合もあります。除去した椎弓の部分に特別にデザインしたセラミック製の人工骨(M-Spacer)を挿入し強固な糸で縛り付けて固定します。  
 

椎弓の切除 
 
 
M-スペーサ
 
 
 
 
M-スペーサーの挿入
 
 
  

ウ  手術は、全身麻酔下に腹臥位(腹ばい)で行います。 
 
エ  稀ではありますが術後の脊椎の不安定性などにより前方固定術など追加手術を要することがあります 

 
 

■メリット 
ア  手術により神経の圧迫が解除され、腰痛や下肢のしびれ痛み、間欠性跛行等の症状の改善が期待できます。症状の改善率は術前の状態によっても違いはありますが80-90%程度(一部改善を含む)と報告されています。下肢痛あるいは間歇性跛行は改善しやすい症状ですが、痺れ、特に足底部の痺れは残存する傾向があります。術前より高度の運動麻痺が存在する場合には、運動麻痺が改善するために長期間要する場合があります。また、術後、腰痛や下肢痛が残存した場合でも筋肉の緊張を緩和する治療により改善する場合があります。 
  
イ  外科的治療法(手術)以外の治療法(薬物治療、理学療法等)は、根本的な治療法ではないと考えられております。 
 
ウ  術後は、K-spacerを使うK-methodと同じくゴルフや海外旅行に行く事も可能です。自分の骨と一体化することで100年の強度、長期安全性が特許で証明されています。
 
 
■デメリット-手術の合併症 
ア 出血  手術によりある程度の出血が予想されます。稀ですが輸血が必要となることがあります。輸血を施行した場合には、輸血による肝炎などの主にウィルス性の感染や免疫反応などの合併症が報告されています。また、手術後に創部の出血が続き血腫を形成する場合があります。血腫により神経圧迫を生じた場合には再手術(止血、血腫除去)が必要となる場合があります。 
 
イ 感染  創部の感染の可能性が約数%程度あります。抗生物質にて予防・治療に努めますが感染が生じた場合には治療期間が延長したり、非常に稀ですが再手術を要する場合があります。 
 
ウ 神経障害  一般的に、痛みあるいは運動麻痺は改善しやすい症状ですが、痺れは術後も残存する傾向があります。これは、脊髄や神経の回復の程度は、脊髄障害の程度により決まり圧迫が解除されても、依然として脊髄や神経自身の障害は残存しているためと考えられます。また手術により痺れや痛みが強くなったり、術前に見られなかった部位に痺れや痛みが出現することがあります(10%程度)が多くの場合は一時的です。稀に再手術を要する場合があります。また、ごく稀に痺れ、痛み、下肢麻痺、そして排尿排便障害が発生し、症状が遺残することがあります。 
 
エ 硬膜損傷  手術中に硬膜が破れて中の脳脊髄液が漏れ出すことがあります。 
その場合にはクリップや特殊な糊を用いて、硬膜の修復を行いますがそれにも関わらず術後に創部に髄液が貯留することが3%程度あります。自然に軽快する場合もありますが、薬剤の投与、再手術などの治療を要する場合もあります。この際に糊として使用される薬剤は血液を原料に作られており使用時には輸血同様に同意書が必要な薬剤です。 
 
オ 椎の変形や不安定性  手術では腰椎の支持組織をできるだけ温存するようにいたしますが、それでも長期的にみると腰椎の変形や不安定性を発生する場合が数%程度あります。その場合には、再手術により腰椎の固定を要する場合があります。